萌えとオブジェクト指向

ここから本題に戻って、萌えについて本気出して考えてみます。


恋愛感情と萌えとの違いについて考えてみましょう。まず一番にいえることは、架空の存在を恋愛対象とすることにはある程度の能力が必要なのに対して、架空の存在に萌えることはそれよりもずっと簡単です。また、属性恋愛というのがまず考えられないのに対して、萌え属性というのは山のように存在します。この違いを考えてみると、「萌え」は抽象的なものに対して使えるということが見えてきます。

ここで少々話を飛躍させると、恋愛というのは普通のクラスであるのに対して、萌えは抽象クラスという違いがあるというのが僕の考えです。恋愛というクラスに抽象的なものを代入するには自分の脳内で具体化させる作業が必要なのに対して、萌えは抽象クラスなので、抽象的なまま代入できるため簡単、という理由です。

また、「萌え」の指す感情が発散しているのも理由は簡単で、抽象的なままでは感情は抱けませんから、萌えている人それぞれが萌えを継承して具体化します。その方法が各人によって異なるのですが、十人十色に異なる実際の感情を萌えという抽象クラス経由で指せてしまうため、感情として同じにならないのです。

そんなわけで、抽象的なことから実在の人物まで、どんなものに対しても萌えることができますが、「萌え」という感情を具体的に特定することはできない、と考えています。